男のブランドのこと、公開します
明確な合意がない場合,権原証券が買主に交付された時期にかかわらず,売主が売買契約上に定められた引渡義務を完了した時に所有権は移転する(§2-401(2))。
ただし,引渡しが寄託物の物理的移動を伴わずになされる場合は(たとえば,倉庫に保管したままでの引渡し),売主が権原証券を買主に交付した時に所有権が移転する(§2-401(3)(a))。
(d)権原証券の譲渡(イ)適式譲渡の要件譲渡性を有する権原証券には,わが国でいう有価証券の善意取得に相当する証券の譲受人保護の制度があることはすでに述べた。
このような保護を証券の譲受人が受けるためには,権原証券が適式に譲渡(duenegotiation)されなければならない。
この適式譲渡の要件は,@譲渡される権原証券が譲渡性を有するものであり,譲受人が,A商取引または金融取引の通常の過程において,B証券上の権利に対する抗弁や請求権について悪意でなく誠実に(goodfaith),C有償(value)で取得することである(§7-501(4))。
たとえば,金銭債務に対する代物弁済として権原証券を交付する場合は,Aの要件を満たさない。
この適式譲渡の要件を満たした譲受人は,@証券に対する権原(title),A寄託物に対する権原(title),B代理の法律関係や禁反言に基づき生ずる一切の権利,C第三者の抗弁や請求権の付着しない証券上の権利などを取得する(§7-502(1))。
Bは少々わかり難いが,権原証券が,いわゆる空券である場合への対処を想定したものである。
すなわち,倉庫業者や運送業者が,実際に物品を受け取っていないにもかかわらず権原証券だけを発行した場合(いわゆる空券の発行),これらの業者(証券の発行者)は,当該証券の適法な所持人に対して,当該証券上受領したと表示されている物品を実際には受領しなかったと主張することは,禁反言の原則により許されない。
これは適式譲渡の要件を満たした譲受人に対しても同様である。
荷渡指図書の適式譲渡の場合,Cの権利は,証券の発行者(倉庫業者や運送業者等)の承認(acceptance)がなされた時に発生する。
適式譲渡による譲受人が保護される例をひとつ示しておく。
持参人引渡式ないしは指図式で白地裏書がなされている倉庫預り証をA(適法な所持人)から盗取したBが,当該証券をCに譲渡した場合,Cによる当該証券の取得が上述の適式譲渡の要件を満たしていれば,Cは当該証券の完全な権利を取得する。すなわち,Cの証券上の権利は,Aによる一切の抗弁・請求から自由なものとなる。
(ロ)譲受人保護の例外適式譲渡の要件を満たした証券の取得でも,譲受人が保護されない場合がある。
すなわち,@寄託する権限のない者により物品が運送業者・倉庫業者等に寄託された場合(無権限寄託)(§7-503(1)),A同一の物品に対して複数の者から複数の権原証券が発行されている場合(§7-503(2)(3)),B同一の物品に対して同一の者から複数の権原証券が発行されている場合(二重発行)などである(§7-402)。
@は,無権限者による物品の寄託の場合,そもそも証券発行者たる運送業者・倉庫業者は,寄託物を真の権利者に返却しなければならず,権原証券それ自体が適法有効に成立したとはいい難い。
このような場合,適式譲渡により権原証券を取得しても,その暇庇が治癒されるわけではない。
Aは,譲渡性のある倉庫預り証や運送証券に加え,荷渡指図書が発行された場合に生ずる問題である。
倉庫預り証や運送証券の発行者から承認を受けていない荷渡指図書に基づく権利は,当該倉庫預り証や運送証券の適式譲渡を受けた者の権利に従属するからである(§7-503(2))。
この例としては,次のような場合があげられる。
Pが倉庫業者に商品を寄託し,譲渡性ある倉庫預り証をPの指図式で発行してもらった。
Pが寄託した商品をQに売却し,荷渡指図書をQに発行しのち(倉庫業者未承認),Pは倉庫預り証をsに適式に譲渡した。
この場合,Qの権利はsに対抗できず,Qから荷渡指図書の適式譲渡を受けた者も,Sには対抗できない。
また,Aは,利用運送事業者であるプレイト・フォワーダーが発行した権原証券においても生ずる問題である。
鉄道会社などの実運送事業者から「プレイト・フォワーダーに対して発行された権原証券」上の権利は,荷送人等に対して「プレイト・フォワーダーが発行した権原証券」を適式譲渡により取得した者の権利に劣後するからである(§7-503(3))。
たとえば,Xが物品の配送をプレイト・フォワーダーに委託し,プレイト・フォワーダーは,譲渡性ある運送証券をXに発行する。
Xは,その運送証券を適式にYに譲渡した。
プレイト・フォワーダーはXから受領した物品を実運送業者である鉄道会社に引き渡して運送を委託し,鉄道会社は,プレイト・フォワーダーに譲渡性ある運送証券を発行した。
プレイト・フォワーダーは,この運送証券をZに適式に譲渡した。
この場合,Zの権利はYの権利に劣後するとされる。
けだし,プレイト・フォワーダーに対して発行された運送証券は,その券面上,プレイト・フォワーダーが関係した運送であることが明らかであり,また,プレイト・フォワーダーが運送証券を発行した蓋然性を示すものとして,券面の記載がその証券取得者へ注意を喚起するものとなるからである。
Bは,権原証券の二重発行の場合である。
当初から数通の船荷証券が発行される場合など一定の例外を除き,同一物品に対して同一の者から複数の権原証券が発行された場合,最初に有効に発行された権原証券が物品に対する権利を表章し,それ以外のものは,物品に対する権利を何ら表章するものではない(§7-402)。
ただし,二重発行した運送業者・倉庫業者は,この二重発行により第三者に生じた損害を賠償する責任を負うことになる。
(ハリ適式譲渡以外の証券移転の効果すでに述べたように,一定の譲受人保護の効果を伴う適式譲渡が可能な権原証券は,譲渡性を有する権原証券のみである。
したがって,譲渡性を有しない権原証券は,適式譲渡の制度はもとより適用はない。
それでは,適式譲渡はできないとして,譲渡性を有しない権原証券は一切その権利を他に移転できないかというとそうではない。
また,譲渡性を有する権原証券であっても,適式譲渡の要件を満たさない権利の移転がなされる場合がある。
これら両者の場合,証券の譲受人は一切権利を取得できないわけではなく,譲渡人が有していた(実際に譲渡する権限を有していた場合を含む)権原と権利を取得する(§7-504(1))。
したがって,譲渡人の権原証券上の権利に対して第三者の抗弁や請求権が付着していた場合,譲受人は,それをそのまま承継することになる。
(e)空券と品違い・数量不足等空券とは,運送業者や倉庫業者が,実際には物品を受領していないにもかかわらず(non-receipt),当該物品を受領したという虚偽の表示を券面に有する権原証券である。
また,空券ではないが,券面上の記述と物品の実際の種類や数量などが異なる場合(misdescription)がある。
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